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 ガトリング

「はっ……!?」

 なんかすごい夢を見たというかアレは所謂死後の世界!?
 逆さまになったままで意識を取り戻す。

 目の前には見事に天井から生えているセイバーの姿。
 竹刀を正眼に構え、一分の隙もない佇まい。瞳には静かな怒りを湛えていた。

「気がつきましたか、シロウ。初撃も躱せないとは情けない。次は――シロウ?」

 その怒り一杯だったはずの瞳が驚きに揺れる。

  「そのてはどうしたのですか?」

「手?」

 わけの判らぬ問いに、まずは起き上がろうとして床に手を――

「あれ?」

 手をつけない。というか、手のひらの感触がない。

「あれ、あれれ?」

 代わりに、金属が立てる固い音がした。
 とにかく、手の感触はないが、床には繋がっているようなので、それを支えに立ち上がる。
 そして、自分の手を恐る恐る見てみると。

「な――」

 両手が所謂、ガトリング砲にになっていました。
 思わず、ガトリングな右手でガトリングな左手を叩く。

 ガンガンガン。

「シロウ、それは――」

「シロウ、うわ〜」

 セイバーはどこか憐れむように。イリヤは心底嬉しそうに俺の方に近寄ってきた。
 あまりの衝撃に膝から崩れ落ちる。

「夢、じゃない?」

 つねろうにも、自分の指がないから不可能。
 代わりに、頭を道場の床に打ち付ける。

「シロウ、なにを!」

「やっぱり、夢じゃない」

 視界が染まるほど、打ち付けたが痛いだけだ。

 何とはなしに右手を持ち上げ、重厚を道場の壁に向ける。
 脳裏に浮かべるのは、鈍色の撃鉄。その片方を落として――

 右手のガトリングは火を噴いた。


 一秒にも満たない時間だっただろう。だが、道場の壁は完全に破壊され、その向こうの屋敷までその傷跡は続いていた。
 遠坂によると、これを取っ払う方法は知らないらしい。
 どこの不思議テクノロジーか、完全に理解の範疇を超えている。なにせ、構造が読み取れない。

  「士郎の魔力を動力、そして弾丸にしてるみたいね。それにしたってどういう変換効率なのかしら。純粋な破壊エネルギーとはいえ、人並み以下の衛宮くんの魔力で、これだけの破壊力。しかもぜんっぜん疲労してないじゃない」

 精神は一気に擦り切れたがな。疲労というか磨耗というか。
 両手をぶった切ろうにも、エクスカリバーでさえ傷がつかなかった。
 真名を解放すれば違うのだろうが、そんなことをすれば体ごとお陀仏だ。
 人形に移し変えれば、などと恐ろしげな提案をなされたが、肝心の人形師がいないらしい。
 とにかく、打てる手はなかった。

 手がかりは。

「虎っカー……」

 という名前と。二人の影だけだった。


 それからのことは簡単だ。
 改造された衛宮士郎は、人間の範疇にいない。
 高速具を容易く引きちぎり、基地を壊滅させる破壊力に誰が対抗できよう。
 ある意味天敵だったバーサーカーももういない。
 しかも、ギルガメッシュとの戦いで、彼の心象世界は瞬く間に潤いを増し、剣の丘から弾丸を無尽蔵に引き上げる術も習得した。
 もう、神秘の面でもばっちりだ。
 聖杯戦争を越える等、箸を握るより容易い。
 彼の目はもう、その光景を見てはいない。

 そう、すべては、虎ッカーを探し出す。元の体に戻るために





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